武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科

教授

井口 博美Hiromi Inokuchi

1956 年生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。公益財団法人日本デザイン振興会を経て、91年にデザイン&マーケティングのコンサル会社である株式会社イードに移籍し、企業の各種調査研究プロジェクトや商品・デザイン戦略の立案等に従事。「戦略的デザインマネジメント」が主たる研究テーマ。

Q. 研究テーマと分野は何ですか?
A. ブランド確立に向けた「ストラテジック(戦略的)デザイン」。元々は、自動車や情報通信機器等 ID 系を中心としたデザイン評価やデザインマネジメントが専門領域。

Q. その内容は?
A. 今日の企業にとって「ブランドの確立」というのは重要な共通課題であり、そのブランドとデザインは表裏一体の関係にあります。いわば経営戦略の一環としてクローズアップされているデザインは、高度情報社会を背景に従来のデザインを取り巻く枠組みや商品開発プロセスに革新を迫るような様々な課題を投げかけています。つまり、そこには経営的視点とデザイン的視点の複眼で捉えなければならないより戦略性の高いレベルでのデザイン領域があり、経営とデザインのインターフェイス役を果たす高度なデザインマネジメントが求められているわけです。それを「ストラテジック(戦略的)デザイン」とうことで共通認識化を図り、その方法論を専門分野を超えて多角的に研究・実践化することに大きな意味があると思います。

Q. 教授の視点から見る「デザイン情報学科・学生」とは?
A. デジタルメディアやテクノロジーの発達によって、ますます新しいデザインの領域は多様化しながら拡がっているのは確かですが、それはデザイン情報学科の学生にとって大きなチャンスでもありちょっと見方を変えればリスクでもあります。たとえば入学時には、デザインの世界を志すきっかけとしてCGやWeb、ゲームのデザイナー等に憧れてこの学科を選択した人も多いと思いますが、だからといって誰もがメディア・アーチストを目指すわけではないでしょう。コンピューター等デジタルツールの依存度が高くなるにつれ、クリエイティブ作業をすることだけが目的化してしまうとそれはある意味で危険信号です。つまり、そこで「デザインの本質」を見失ってしまうと”DESIGN INFORMATICS”としての存在価値が半減してしまうような気がしてしまうのです。ただし、4年間の大学生活の入口と出口では自分自身のやりたいことや仕事に対する考え方も変わるのは常ですから、その劇的変化にもある程度対応できるようにデザイン情報学科のカリキュラムが幅広く柔軟で多彩なことは実にいいことだと思います。要はいろいろな刺激を受けながら、自分自身の素養・センスと大学で培った能力を将来に向けて何に振り向けるかという「自らの方向付け」ができるという環境そのものが大切なのです。時代の要請として、今のデザイナーにはひとつの専門性に留まらず複数の専門性が求められているような実情もあります。そのマルチデザイナーを目指して、私はデザイン情報学科の若い力と積極的アプローチに期待しています。

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