2020年
-歩きながら音を織り込む-
岩野 真緒[今泉ゼミ]
テーマパークでは、エリアごとにアトラクションや建物の世界観に合った曲が設定されている。その中で、自身がエリア間を移動するにつれて「異なる曲同士が混ざり合っていく現象」に興味を惹かれた。今回の研究は、曲のリズムや音程、エフェクトの掛け合わせによる様々な音の重なり方を、武蔵美の各場所に適した曲_「エリアミュージック」として表現する。スピーカーに人感センサーを付け、鑑賞者が意図的に音を出せる仕組みにすることで、より音と空間を楽しめるような作品を目指した。
一般的なステレオ装置は、二つのスピーカーを底辺とする二等辺三角形の頂点に鑑賞者を縛りつけることで音の広がりを提供している。岩野さんはこの関係を分解し、キャンパスの環境音を取り込みながら二つのスピーカーの音源の間に対話的な音楽関係をデザインするとともに、接近する鑑賞者のポジションによって音のシーケンスをスタートさせ、また鑑賞者に両音源のベストバランスを発見させるというインスタレーションとしてダイナミックな音の世界を作り出した。(今泉 洋)