武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科

10期生・若林 玄 GEN WAKABAYASHI

自分のデザインの方法・理論を探る

2015年5月、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズからニコラス・ローズ先生をお招きし、「新しい日本のラグジュアリー」を提案するワークショップを行いました。アシスタントとして後輩たちの指導にあたった若林 玄さんは、卒業後に同大学に留学をされたデ情10期生です。

卒業後にロンドンに留学されましたが、どういった考え から留学を決意されましたか?

デ情に在学していた時から、「カルチャー」という大きなテーマのもとデザインを学んでいました。その中で、自分の知らない文化圏での物事の捉え方や考え方、またそれがどのようにデザインに影響を及ぼすかということに非常に興味を持ち、より世界を多角的にとらえるようになりたいと思ったのが留学を決意させた理由でした。

今回、招聘教授としてセントラル・セント・マーチンズから お招きしているインダストリアルデザイナーのニコラス・ロー ズ先生は、若林さんの留学時代の先生でもありますね。

今回、招聘教授としてセントラル・セント・マーチンズからお招きしているインダストリアルデザイナーのニコラス・ローズ先生は、若林さんの留学時代の先生でもありますね。僕がローズ先生と初めてお会いしたのは2010年に今回と同じように、先生が訪問教授としてムサビに来日された時でした。その後、留学するにあたり様々な場面でアドバイスをいただき、MA Industrial Designに入学後は先生のもとでインダストリアルデザインを基盤として、サービスデザイン、ブランディングデザイン、デザインリサーチなどのデザインの考え方や方法論を学びました。


訪問教授のワークショップは全行程が英語で行われます。デ情では英語による必修科目のほか、英語で行われる授業が多数あります。

デ情の授業で留学後に活かされたことはありましたか?


2013年にBA Product Design/MA Industrial Design Central Saint Martins はThe Queen’s Anniversary Prizes for Higher and Further Education を受賞し、女王陛下よりメダルが授与されました。

デ情では、1年生の必修授業である「課題発見」からグループワークを非常に重視しています。グループワークのマネジメントの仕方、またその中で行き詰まった時や問題が発生した時の対処の仕方を多く経験したことで、ロンドンでも多文化圏・他分野の学生とのコラボレーションを非常に円滑に進めることができました。

留学中の印象深い経験を教えてください。

パリの大学と合同で行った産学プロジェクトが印象的でした。フランスのラグジュアリーブランドのイベントをデザイン提案するプロジェクトだったのですが、インダストリアルデザイン・グラフィックデザイン・空間デザイン・プロダクトデザインなど異なる専門分野を持つ学生たちと一緒に新しい価値について考え、デザインを行いました。言語・文化・教育機関も超えてコラボレーションし、プロジェクトを遂行できたことは今でも強く心に残っています。

今回のアシスタントを通しての感想と、学生たちへのメッ セージをお願いします。


修了制作 日本の大掃除文化を体験する装置 「清風機 Kiyome」 は優秀作品としてセントラル・セント・マーチンズにアーカイブされている

海外の大学の先生が実際に来られて、様々な国の留学生とコラボレーションしながらデザインを学べるというデ情の環境は、改めて非常に貴重だと感じました。今回アシスタントとして学生時代とは違った角度からワークショップに参加していましたが、学生たちのまっすぐな姿勢に僕のほうがエネルギーをもらえました。このような機会も含めて、デ情には様々な形のデザインを体験し、学び、考える環境がそろっています。学生たちには、たくさん新しいことにチャレンジして自分の知らなかった世界の見方や捉え方を感じながら、今まで考えもしなかった新しい自分のデザインの方法・理論を見つけてほしいです。

わかばやし・げん

株式会社フジキ工芸産業デザイナー。
2011年デザイン情報学科卒業後、セントラル・セント・マーチンズMA Industrial Design に留学。「Emotionally Durable Design」をテーマに「物の価値と行為の儀式性」を研究し、修了後帰国。現在伝統文化の再定義を目指し伝統工芸に関わるデザインを行う。

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