2022年
―プレイヤーと観客のコミュニケーションを促すゲーム性の探求―
小野寺 健人 [高山ゼミ]
本作は、プレイヤーと観客との間で新たなコミュニケーション機会を生み出すことを目標として制作したデジタルゲームである。単純な操作方法のアクションを組み合わせて遊ぶというルールとプレイヤー以外の鑑賞者もゲーム内容や状況を把握できる分かりやすいグラフィックを用いることで、ゲームシステムとデータベース両面から多様なユーザーのゲームプレイとそれに伴うコミュニケーションの発生を可能とするデジタルゲームをデザインした。
デジタルゲーム分野の表現力とは何だろうか。ゲーム制作者の多くが独創的な仮想体験の創出を目指すが、そのことが必ずしもゲームの本質である面白さに結びつくとは限らない。一方で本作は奇をてらわず純粋な面白さを起点とし、日常生活の一部として他者との交流にもつながる遊びのデザインを模索した。革新性こそないが、ゲームで遊ぶ行為を客観視した作者の姿勢と確かな完成度が面白さに結実しており、この分野の表現力を感じる。(高山穣)