武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科

2022年

卒業研究・卒業制作 優秀作品

江戸時代の禅画

江戸時代の禅画

江戸時代の禅画

―臨済宗の墨絵、曹洞宗の挿絵―

工藤 康真 [森山ゼミ]

「禅宗美術」とは言いつつも、その実態はほとんどが臨済宗のものであり、同じ禅宗である曹洞宗の名を聞くことはまずない。宗門の規模としては曹洞宗の方が大きいにもかかわらず、美術分野においては圧倒的に臨済宗が影響を有しているのはなぜなのか。今回、テーマを禅画に絞りその疑問を研究する事にした。また、研究するだけでなく実際に作品をつくることで、論と実を兼ねた卒業研究にしたいと考えている。

宗教を超えて文化に深甚な影響を与えた禅宗は曹洞宗、臨済宗、黄檗宗の総称だ。だが美術、とりわけ禅画においては白隠や仙厓ら臨済宗が圧倒的なのは何故なのか。自身曹洞宗に属する工藤は、両者の戒律ほか7つの柱を設けてこの問題を検証した。最大の理由は道元の教えが難解すぎることだが、独自の試みとして、江戸時代の寺子屋の教本向けに「正法眼蔵」の図解を、道元の年齢と同じ53点制作。これをもって曹洞宗の「挿画」とするとは、なんとも天晴れである。(森山明子)

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