2016年
-「紙胎」技法における漆と紙双方の変化と分析-
藤田 葉奈子[森山ゼミ]
漆は、塗る素材によってそれぞれ呼び方があり、「紙胎」という技法は2000年以上前から存在する。紙胎は木型に紙を張り重ね、漆で固める技法で、漆との塗相性も良い。今回、私は紙胎の技法とは少々異なるが、様々な紙を用いて漆を紙に塗り、漆が乾いた後の変化を分析する。漆を塗った様々な紙をひとつの見本帳としてまとめ、様々なシーンで使用してもらえるようなツールを作りあげることを目標とし、制作した。
この研究は色の異なる3種類の漆を洋紙・和紙合わせて100種類の紙に塗って分析したものですが、「紙に漆を塗った後の変化は、それぞれ異なり大変興味深い」という発見は、作者だけのものです。300例それぞれに固有の表情が生まれ、結果「漆は偉い」と実感します。ご飯をいただくのに陶の碗と漆の椀では目や舌が違う反応をするのも漆の個性です。この地道な研究が生活用品や空間向けの用途開発につながることを願います。(森山 明子)