2016年
-周回する時間と直進する時間-
船見 茉由[今泉ゼミ]
時間には2つの捉え方がある。1つは周回する時間―毎日の生活のリズム、そして四季の巡りによる1年の経過など、過去に経験があり、ある程度予想できる周回的な時間。もう1つは直進する時間―進学や就職、結婚など初めて体験する全く予想のつかない前進的な時間。この2つの時間の存在を表現する。プロジェクターの光で机上に並べられたオブジェクトを辿っていくと一連の流れが見える。様々な直進/ 周回するオブジェクト群を見て、鑑賞者は2つの時間を感じる。
作者によれば、我々は円環的な時間と直線的な時間、二つの異なる時間を同時に生きているという。光の補助線とでもいうべき光跡を頼りに、我々は目の前に広げられたフィギュアの様々な振る舞いからシーンの意味を解釈し、自らの記憶を参照しながらそれらのつながりを見出していく。これは、我々が生きてきた、そして生きようとする二つの時間を読み解くための仕掛け=インスタレーションである。(今泉 洋)