2019年
-収斂進化の仕組みを応用したクリーチャーデザインとその博物画的表現研-
圓井 俊太郎[高山ゼミ]
クリーチャー表現の実在感の追求に取り組んだ。クリーチャーデザインにおいては、生物の種の系統を超えた形の類似性に着目し、既存の哺乳類のフォルムを節足動物のパーツで表現したオリジナルクリーチャー、哺乳綱型節足動物を構成した。表現方法は19世紀の博物画を模したエッチングを用い銅版画計5枚を、当時の架空の博士の研究室を想定した展示空間に配置する。
クリーチャーデザインは架空の生物を自由に空想できる魅力はあるが、一方で実在感も問われる。圓井君はそこを博物画に求め、単なる写実表現とは異なるアプローチでリアリティを追求した。本作は架空の進化を遂げた生物を想定し、それを解剖学の専門家からの助言を得て描き出し、さらに工房で学びながら銅版画で仕上げた労作である。作者自身が流行の異世界転生を疑似体験したかのような工程による作品群は、まさに「架空世界の本物」に迫る説得力を持つ。(高山 穣)