2023年
-海洋生態を多重分割法によって表現したピクセルアート-
郡司 麻衣 [高山ゼミ]
本作品では、構成する単位の大きさが異なるピクセルアート・アニメーションを複数重ねることで画面を作り上げるという技法を用いている。ウミガメ、タコ、ジンベイザメを離散的なピクセルアニメーションで描き、それらに異なる大きさで描いたピクセルアートを重ねることで、生き物の生態や食物連鎖の様子を装飾的に表現することを目指した。生物がお互いに影響を与えている自然界の様子をマンダラ的視点で取り込むことを試みている。
近年、ピクセルアートは流行の域を超えて表現手段の一つとして定着しており、ある程度の歴史や様式も確立されている。そのような状況下で作者は既存のスタイルとは距離を置き、一貫してピクセルが備える最大の特徴である離散性(要素間が連続していないこと)の意義と可能性を探求し続けた。本作のテーマである生命のつながりを、あえてピクセル間の断絶で表現する意欲的な試みには、デジタル画像表現における開拓性が垣間見える。(高山穣)