武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科

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20191114

【授業潜入】巨匠に学ぶ!CM映像の極意——CM映像をつくる最終講評

「CM」「広告」と聞いて最初に思い浮かぶのは何ですか?

商品や企業の宣伝のイメージが強いでしょうか。だけどCMの役割はそれだけではありません。

社会に対して問題提起し、メッセージを発信するためのCMが存在します。

それが「公共広告」です。

「CM映像をつくる」って?

その名の通り、CM映像——それも公共広告を一から制作する授業です。

テーマの選定、企画立案、シナリオ、絵コンテ、撮影etc.……これら全てを学生自身で行います。

作業量が多く必要なスキルも多岐にわたるので、成し遂げるにはガッツが不可欠。ただしこれは大きなチャンスでもあります。

この授業で制作した作品は学内選考を通過すると、ACジャパンが主催する学生広告コンペティションにエントリーされます。グランプリ・準グランプリ作品は、なんと実際にBS放送でオンエアされるのです。

そして、エントリーに備え仕上げのアドバイスがもらえる場が最終講評です。

プロの目で見てもらおう

例年この授業の最終講評では、デ情の客員教授であり著名なCMディレクターの中島信也先生をはじめ複数名のゲスト講師をお招きします。

成長の1番の近道は、何といっても他の人に作品を見てもらうこと。最前線で活躍するクリエイターの方々から直接意見を頂ける貴重な機会です。

今年の作品は特に粒ぞろいで、ゲストの皆様からの評価も上々。実際にいくつかの作品を見ていきましょう。

個性的な作品たち

まずはこのCMから。これは交通ルール遵守を呼びかけるCMです。

自転車を操作するゲームが始まりました。だけど動きがおかしい模様。どうやら自転車が暴走してしまったようです。人や車、他の自転車に衝突し続けるも、自転車は止まることができません。やがて画面が乱れ「暴走逆走人生終了」と表示されます。コミカルな表現ながら事故の恐ろしさが伝わり、交通ルールへの意識が高まるCMとなっていました。

次に紹介するのは人にぶつからない傘の持ち方を呼びかけるCMです。

現代の街に侍が一人。腰の刀が人にぶつかり周囲の邪魔になっています。困った侍が周りを見ると、傘を垂直に持つ人達が目に留まりました。人に迷惑のかからない持ち方を知った侍は現代人の仲間入り。「傘の持ち方、文明開化。」というフレーズが印象的です。

最後は視覚障がい者のSOSサインを周知するCMです。

棒を持った女の子が歩いていると、どこからともなく怪獣が現れます。1人ではどうすることもできない女の子は持っていた棒を掲げました。その棒の正体は「白杖」という視覚障がいのある人が使う杖。怪獣も本当はただの犬なのですが、目の見えないこの女の子にはそれがわからなかったのです。視覚障がいのある白杖を頭上に掲げる合図は視覚障がい者のSOSサイン。見かけたら手助けをお願いします、というメッセージを込めた広告です。

持ち味を活かして心に届く表現を

今回紹介した3作だけでも全く作風が異なるように、メッセージを伝えるためのアプローチは様々。

インパクトを与えたり、優しい気持ちを呼び起こしたり……それぞれ自分の持ち味を活かした表現ができていたのも高評価のポイントでした。

それでは、締めとして中島先生のお言葉を拝借します。

 

「ただ単にメッセージを伝えるだけでは誰も聞いてくれない。喜び、楽しみを与えることが必要です。皆が喜んでくれるかたちを作ってください。」

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