武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科

大学院

修士課程デザイン専攻デザイン情報学コース

デザイン情報学コースは、社会性を考慮した論理的アプローチと美を求めた感覚的アプローチの両面で成り立っています。論理に基づくデザイン提案だけでなく、感覚的な思考のプロセスを分解し、新たに研究制作として構築することを期待します。また、指導教員の研究分野である「メディア表現系」「デジタル技術系」「コミュニケーション創発系」の三つの専門領域を中心としながらも、それらを横断的な視座で捉えた研究を試みます。修士の最終成果は[1]メディアやデザインなどシステムの提案、[2]コンテンツ・表現の研究論文、[3]上記に関連する作品制作を目標とします。

理念・教育目標

デザイン情報学コースは、多様なデザイン行為やメディア表現を情報学の視座 から研究し、生活や社会環境に対する新たな捉え方を提示することを教育理念とします。また、本コースは、研究アプローチによって最適な研究成果を求め、 論文執筆もしくは作品制作、またはその複合的な成果も受容し、デザインとその周辺世界を開拓する理論構築とその実践を教育目標とします。

研究概要集

2021年度

2021年度 修士研究概要集 PDF

・コウ ブン 『ホログラム原理によるテクスチャのデジタル化制作』

・サイ シカ 『都市公共空間における環境情報の記号化表現』

・トウ ニナ 『モンゴル、ウイグル、アイヌ族の民族舞踊からみた文化的造形要素の研究』

・リュウ カキ 『社会に潜む制度やその特徴の可視化 ータイポロジーとアナロジーによる写真表現ー』

2020年度

2020年度 修士研究概要集 PDF

・オウ モヨウ 『写真におけるタイポロジー手法の比較研究』

2019年度

2019年度 修士研究概要集 PDF

・後藤 英里佳 『SNS 時代の集客手法と顧客観点から見た美容ビジネスの現状と展望 ーより良い美容サービスを提供するためにー』

・鈴木 健一郎 『CNN による字間予測と有用性の検証』

2017年度

2017年度 修士研究概要集 PDF

・チョウ リョウイ 『店舗メディア情報の「エデュケーション性」に関する研究』

・デン シウ 『中国の京劇音楽のリズムのデジタル化に関する研究』

2022年7月現在

2022年度7月現在、デザイン情報学コースに在籍中の修士2年生の研究概要一覧です。

オノマトペ

オウ キ〈M2〉 オノマトペにおける言語学習支援の研究

 日本のオノマトペは片仮名が組み合わされた言葉であり、声、動き及び感情を表現した言葉である。日本人が会話でオノマトペを利用する頻度は高く、世界的に比較してみても、日常会話で多く使われていることが知られている。外国人留学生は、日本語のオノマトペの意味やニュアンスを習得することは難しい。しかし、日本語試験のための日本語教材では、動詞と基本文法が中心であり、オノマトペはあまり扱われない。
本研究はオノマトペにおける認知過程を考察して、外国人留学生ためのオノマトペに関するデジタル教材を提案する。もし、オノマトペに言葉一音一音の組み合わせのニュアンスに対応する法則性が存在しているならば、理論上、オノマトペのパターンに応じた組み合わせ、それぞれの画像や映像を作り出せる可能性がある。本研究はオノマトペのパターンを考察し、SD 法によるアンケート調査を行う。最終成果では、ユーザーがオノマトペを選択すると、モーショングラフィックスが生成する映像作品を考えている。

手の動きを音楽に転換する新しい音楽表現システムの研究

コウ ブンキン〈M2〉 手の動きを音楽に転換する新しい音楽表現システムの研究

 音楽は無意識に人体に何らかの影響を与えているケースがある。「音楽を聴くと体が無意識に動いてしまう」現象もその一つである。その現象は音楽知覚・認知の研究ではグルーヴ感と定義されている。グルーヴをもたらす音楽的·音響的要素としては、はっきりしたビート、単位時間あたりの音の数の多さ、音質、音の大きさなどが多く含まれることなどが指摘されている。そして研究によると、動きに関する知覚・感性は音楽学習における表現活動の支えとなり、音楽構造の理解に有効であることが判明している。そこで、私は、これから楽器演奏を勉強したい人のグルーヴ習得支援に着目し、体の動きでグルーヴを生成するインタラクティブ音楽システムを研究している。
研究の試作では、まず、違うジャンルの音楽リズム・グルーヴを分析、整理し、音楽のジャンルが決められるドラムセットのベースリズムパターンに基づいてリズムパターンのデータ化、グルーヴの視覚化を試みた。これからは人の手の動きをリズム・グルーヴデータに転換する方法、また表現方法について探りたいと考えている。

<参考文献>
[1]宮丸友輔,江村伯夫,山田真司,“ポピュラ音楽のドラムス演奏におけるグルーヴ感の研究”,日本音響学会誌 73 巻 10 号(2017),pp. 625–637
[2]山田陽一,“響あう身体:音楽・グルーヴ・憑依”
[3]Tommy Igoe, “Groove Essentials”

イラスト画像をボクセルデータに変換する方法の研究

ネイ ゲツキ〈M2〉 ボクセルに対する人の認知心理の研究

 ボクセルは、コンピュータで立体を表現する方法の一つで、volume(体積)とpixel(画素)を組み合わせて作った造語である。ボクセルにおける基本的な3Dピクセルは立方体である。現在のボクセルの作品は、コンビュータの処理能力が飛躍的に向上し、高解像度の画像処理が可能な現代でも、表現方法の一つとして定着している。複雑な物体や風景などを単純化しても、人は認識することができ、この点は平面的なサイン表示やピクトグラムにも共通している考えられる。そこで、単純化されたボクセルに対する人々の認識、その認識の構成要素について、研究制作を行う。
本研究制作では、まず、ボクセルの3Dモデリングを制作する。その制作したボクセルを用いて、人がモノのかたちを認識するためのボクセルの最小単位を探るアンケート調査を行う。そのアンケートの統計結果をもとに構成要素を明確に表すためビジュアルのデータを制作する。

考現学的手法を用いた街の文化情報の可視化

リュウ ネイキ〈M2〉 考現学的手法を用いた街の文化情報の可視化 —遊歩者の群像—

 以前作った作品「ゴールデンプロジェクト」では、路上観察で文字情報から街の視覚的な特徴を表すことができると分かった。さらに、調査記録から、抽象的記号化をして街を再構成することを考えた。
考現学の調査手法については、一例をあげると静岡県民俗学会が2000年(平成12年)に企画した「年中行事の今」のなかで採用された、スーパーマーケットの広告チラシや販売された年中行事商品を収集して分析する手法がまさに考現学的な方法であるといえる。
地域の文字情報の視覚的な特徴を調査した上で、街中のファッション・広告などを調査することで、今現在の記録をしたと考えられる。調査結果のまとめ・今を記録し、その特徴を抽象的に表現する。図形で「人間の変体」を作り、抽象化した人間の形に対して、デジタルコミュニケーションで人と交流するインタラクティブ装置を作ることを考える。
モデル地域としては、原宿(東京都)を選定する。比較対象としては、銀座(東京都)、那覇(沖縄)、上海を選定する。比較対象の設置によって特徴を明らかにし、街の今を捉える。

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