武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科

大学院

修士課程デザイン専攻デザイン情報学コース

デザイン情報学コースは、社会性を考慮した論理的アプローチと美を求めた感覚的アプローチの両面で成り立っています。論理に基づくデザイン提案だけでなく、感覚的な思考のプロセスを分解し、新たに研究制作として構築することを期待します。また、指導教員の研究分野である「メディア表現系」「デジタル技術系」「コミュニケーション創発系」の三つの専門領域を中心としながらも、それらを横断的な視座で捉えた研究を試みます。修士の最終成果は[1]メディアやデザインなどシステムの提案、[2]コンテンツ・表現の研究論文、[3]上記に関連する作品制作を目標とします。

理念・教育目標

デザイン情報学コースは、多様なデザイン行為やメディア表現を情報学の視座 から研究し、生活や社会環境に対する新たな捉え方を提示することを教育理念とします。また、本コースは、研究アプローチによって最適な研究成果を求め、 論文執筆もしくは作品制作、またはその複合的な成果も受容し、デザインとその周辺世界を開拓する理論構築とその実践を教育目標とします。

研究概要一覧

2024年度6月現在、デザイン情報学コースに在籍中の修士2年生の研究概要一覧です。

デジタル療法のためのフィットネスゲーム制作の研究

アン ジスゥ〈M2〉 デジタル療法のためのフィットネスゲーム制作の研究 -うつ病患者の身体活動を伴った心理セラピーの提案-

 うつ病は意欲低下と憂鬱感を主な症状とし、日常生活に支障をきたす精神疾患である。特に韓国では、21世紀に入ってからOECD加盟国の中でも自殺率が高く、10-30代の生産人口における死亡原因の1位が自殺となっている。このような背景から、若年層のうつ病は深刻な社会問題となっている。そこで、本研究では、特に若年層を対象にしたうつ病改善ゲームを制作する。多くのうつ病患者は規則正しい生活を送るのに苦労しており、これをゲームを通じて支援するデジタルセラピューティックスの機能を提供する。
まず、うつ病に関する事例および関連ゲームの事例研究を行い、若年層が感じる憂鬱感や不便な状況をアンケート調査で収集する。収集したデータをもとにゲームの世界観~~と~~や選択肢を設計し、モーション認識機能を活用してゲーム内で身体活動を促す仕組みを導入する。さらに、ゲームを毎日同じ時間に遊べるように設定することで、プレイヤーが日常生活の最初のステップとして体を動かして、無気力感の改善を図る。

共感覚に基づく味覚の可視化に関するグラフィック表現の研究

オウ イシ〈M2〉 共感覚に基づく味覚の可視化に関するグラフィック表現の研究

 人は食物の色彩から美味しさをある程度判断できるが、味覚は個人差により視覚だけで美味しさを伝達することは難しいと考えられる。
よって、日本/中国の既存食品パッケージや広告などのグラフィック表現を分析し、微妙な味の情報伝達の可能性について検証する。また、分析結果に沿ってパッケージやCM映像に適用するためのグラフィック表現について研究する。甘い、酸っぱい、苦い、辛いなどの大まかな味の違いだけでなく、味の微妙な変化まで示すことができる共感覚に基づくグラフィック表現手法を研究し、消費者が食品の味をより明快に視覚情報で認知する方法を明らかにすることである。

形態・色彩における「可愛らしさ」のイメージのデザイン手法

キム ウンジン〈M2〉 形態・色彩における「可愛らしさ」のイメージのデザイン手法 -韓国と日本における地域のマスコットキャラクターの提案-

 地域のマスコットキャラクターは日本だけではなく、韓国においても地域のシンボルとして広告・宣伝のために多く使用されている。キャラクタービジネスが発達している日本では地元マスコットキャラクターが通称「ゆるキャラ」として全国に 1500 個以上 存在している。「ゆるキャラ」のタイプと表現方法は多様化しているが、「ゆキャラ」は地域の特性を活かした特徴的なイメージで、地域への関心と活性化を目的としている点では共通の目的を持っている。「ゆるキャラ」の多くは10代~20代の年齢層をターゲットとして、形態・色彩における「可愛らしさ」の要素が含まれていると考えられる。「可愛らしさ」に関する先行研究はあるが、地域マスコットキャラクターを対象にして適用した研究事例は少ない。「可愛らしさ」とは、幼い子どもの顔や姿、行動などが、思わずほほえみたくなるほど愛らしいことを指すが、本研究では「ゆるキャラ」における形態と色彩などの造形的要素との関連について分析する。その分析をもとにして地域のマスコットキャラクターを提案したいと考えている。本研究は韓国と日本の地域マスコットキャラクターにおける「可愛らしさ」を表現するための手法の探求を目的とする。日本と韓国の地域マスコットキャラクターを対象に形態・色彩などの主要な造形要素を調査し「可愛らしさ」にどのような影響を与えるのか考察する。

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研究概要集

2023年度

2023年度 修士研究概要集 PDF

・シン キ 『こころの状態の視覚化に関する研究』

・リュウ ネイキ 『街の再現:地域文化の視覚的特徴を再構成する試み ー渋谷をモデル地域としてー』

・リン タクイ 『ユーモアを喚起するためのコミュニケーションデザイン ーユーモア(笑い)に基づいた日用品デザインー』

2022年度

2022年度 修士研究概要集 PDF

・オウ キ 『オノマトペにおける言語学習支援の研究 ーオノマトペから映像へ変換する調査ー』

・コウ ブンキン 『手の動きを音楽に転換する新しい音楽表現システムの研究』

・ネイ ゲツキ 『ボクセルに対する人の認知心理の研究 ー人がモノのかたちを認識するためのボクセルの最小単位を探る調査ー』

2021年度

2021年度 修士研究概要集 PDF

・コウ ブン 『ホログラム原理によるテクスチャのデジタル化制作』

・サイ シカ 『都市公共空間における環境情報の記号化表現』

・トウ ニナ 『モンゴル、ウイグル、アイヌ族の民族舞踊からみた文化的造形要素の研究』

・リュウ カキ 『社会に潜む制度やその特徴の可視化 ータイポロジーとアナロジーによる写真表現ー』

2020年度

2020年度 修士研究概要集 PDF

・オウ モヨウ 『写真におけるタイポロジー手法の比較研究』

2019年度

2019年度 修士研究概要集 PDF

・後藤 英里佳 『SNS 時代の集客手法と顧客観点から見た美容ビジネスの現状と展望 ーより良い美容サービスを提供するためにー』

・鈴木 健一郎 『CNN による字間予測と有用性の検証』

2017年度

2017年度 修士研究概要集 PDF

・チョウ リョウイ 『店舗メディア情報の「エデュケーション性」に関する研究』

・デン シウ 『中国の京劇音楽のリズムのデジタル化に関する研究』

 

 

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